第18回 いつも自然体"クミコ"からの応援レター「ココロの窓を開けたなら」

新連載いつも自然体

第18回 「暗くたって明るい」(20114.15)

大震災から一月余りが経ちました。
世の中は、文字通り、すっかり暗くなってしまいました。

実は昨日、京都に行ったのですが、駅に着いた途端明るい。
あ、この明るさ久しぶりという感じ。
駅構内のどの店のショーウィンドウも、全部照明がついている。
これって、震災前にはどこでも当たり前だったのに、と感無量になります。

ところがその京都。
駅を出てタクシーでホテルに向かうと、すぐにあたりは暗い。
桜も川面もぼんやりと、それこそ「幽玄」の佇まいです。
ああ、ここって昔からこ ういう街だったんだな、と気づきます。

福島の原発は東京のためにある、この言葉にどれほど後ろめたい思いをしたことでしょう。
思えば、東京に暗い場所などありませんでした。
どこへ行っても、自動販売機が、ごおおんと音をたてながら光を放っているし、コンビニも、24時間ひたすら店を開け、深夜の無人の店内にも蛍光灯が煌々としていました。

私は東京に住んでいますが、この有り様を、確かに変だとは思っていました。
どうも、おかしい。
いつか、バチがあたる。

今のこの状態を、その「バチ」といっていいのかどうか。
けれど、「これまで」が永久のものではなかった、何か間違っていた、そんな悔いのような気持ちを、誰にも持たせたことは確かです。

「このままだって十分だよね。」
こんな言葉も、この頃ではしょっちゅう聞きます。
半分くらいの暗さ、いえ、明るさでも十分。
なんの問題もない。
なんだか、気持ちが少し明るくなります。

暗さを経験した私たちは、明るさの意味がやっとわかったのかもしれません。
本当の明るさってなんなのか。
本当に必要なことってなんなのか。

東京 駅に着くと、真っ黒な電光掲示板が出迎えました。
いいもん、平気だもん、薄暗い通路を歩きながら、思いました。

クミコさんPROFILE

1954年9月26日 茨城県水戸市生まれ。早稲田大学卒後、’78年、「世界歌謡祭」に日本代表の一人として参加。’82年 シャンソンの老舗・銀座「銀巴里」のオーディションに合格し、プロとしての活動をスタートする。’99年 作詞家・松本隆氏に見いだされる。‘02年 アルバム「愛の讃歌」に収録した「わが麗しき恋物語」が、“聴くものすべてが涙する歌”として大きな反響を呼び、シャンソンでは異例の大ヒットとなり一躍脚光を浴びる。’07年 デビュー25周年を迎え、中島みゆき書き下ろしの新曲「十年」を収録したアルバムをリリース。翌年、アルバム「友よ!」を発表し、話題に。‘09年、三木たかし氏の遺作である「届かなかったラヴレター」をリリース。そして、今年2月9、10日には、井上芳雄さん徳光和夫さん上柳昌彦さんと共に、シリーズ35万部突破の実話集「届かなかったラヴレター」を朗読と名曲で綴るハートフルコンサートを実施。また、「届かなかったラヴレター」を含む新作ミニアルバムをリリース。2月24日にはNEWシングル「INORI 〜祈り〜」をリリースし、USEN総合リクエストチャート1位になるなど快進中。

*その他クミコさんの詳しい情報は 「クミコ オフィシャルサイト」まで http://www.puerta-ds.com/kumiko/index.html

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