第26回 いつも自然体"クミコ"からの応援レター「ココロの窓を開けたなら」

新連載いつも自然体

第26回 「ちっちゃなボタモチふたつ」(2011.8.18)

皆さま、夏休みの真っ最中でしょうか。
お盆という行事、私の家では別段なにすることもなく、けれど「ボタモチ」だけは作ります。
それを、おじいちゃんとおばあちゃんの位牌に一応は供えた後、
結局は自分たちがむしゃむしゃとたいらげるのです。

私 の家には、昔から仏壇というものがありませんでした。
子供の頃そういうと、友だちはみな驚いて、へええという顔をしました。
毎朝、お線香をあげ、お水を替え、手を合わせる習慣を持つ家に行くと、
あまりの違いに自分の家のからからとした軽さのようなものに、疑問を持ったりもしました。
うちってなんかヘン。

そうこうするうちに祖母が亡くなりました。
戒名の入った位牌が届きました。
それは居間のサイドボードの上にポコンと置かれました。
おばあちゃん、お茶好きだからねといって、毎朝その位牌の前に湯呑みがポツンと置かれます。
でも、母が手を合わせている様子はありません。
時々私がお茶を供える時に、手を合わせるだけです。
なんかヘンだなあ、やっぱり。

今度は祖父が亡くなり、位牌がもう一つ増えました。
二つの位牌は小さなスペースに窮屈そうに収まりました。
ちょっと、おじいちゃんどいてよ。
なにいってんだ、お前こそもっとそっち行けよ。
そんな会話が聞こえてきそうです。
それでも母親は知らん顔。
「アッチはダイジョウブだよ」といわんばかり。
たしかに、アッチは広々と気持ちの良いところなのかもしれません。

そんな肩寄せあうような窮屈な位牌二つに、昨日は手を合わせました。
ちっちゃなボタモチ二つを、一つのお皿に乗せて、目を閉じました。
そちらはいかがですか。
こちらは大変です。
見守っててくださいね。
ただ、見てるだけでいいですから。

こうして、私のお盆は終わりです。
アッチもコッチも地続きのようなもの。
そんな気持ちが一層強くなった今年のお盆です。

クミコさんPROFILE

1954年9月26日 茨城県水戸市生まれ。早稲田大学卒後、’78年、「世界歌謡祭」に日本代表の一人として参加。’82年 シャンソンの老舗・銀座「銀巴里」のオーディションに合格し、プロとしての活動をスタートする。’99年 作詞家・松本隆氏に見いだされる。‘02年 アルバム「愛の讃歌」に収録した「わが麗しき恋物語」が、“聴くものすべてが涙する歌”として大きな反響を呼び、シャンソンでは異例の大ヒットとなり一躍脚光を浴びる。’07年 デビュー25周年を迎え、中島みゆき書き下ろしの新曲「十年」を収録したアルバムをリリース。翌年、アルバム「友よ!」を発表し、話題に。‘09年、三木たかし氏の遺作である「届かなかったラヴレター」をリリース。そして、今年2月9、10日には、井上芳雄さん徳光和夫さん上柳昌彦さんと共に、シリーズ35万部突破の実話集「届かなかったラヴレター」を朗読と名曲で綴るハートフルコンサートを実施。また、「届かなかったラヴレター」を含む新作ミニアルバムをリリース。2月24日にはNEWシングル「INORI 〜祈り〜」をリリースし、USEN総合リクエストチャート1位になるなど快進中。

*その他クミコさんの詳しい情報は 「クミコ オフィシャルサイト」まで http://www.puerta-ds.com/kumiko/index.html

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